スパークギャップ式テスラコイルの設計法

テスラコイルの中でも単純な回路の”スパークギャップ式テスラコイル(Spark Gap Tesla Coil : SGTC)”の設計方法について解説します。

そもそもテスラコイルとは何かというと、共振現象を利用した特殊な変圧器です。

とても高い電圧を発生させることが可能で、目に見える稲妻を起こすことが出来ます。

 

この記事に従って行動したことにより発生した損害等の保証はいたしません。

高電圧を扱うため感電死の危険もあります。

すべて自己責任にて行ってください。

 

 

スパークギャップ式テスラコイルの基本

この方式はニコラ・テスラが発明した方式で、テスラコイルの原型となっています。

スパークギャップを用いて共振をする最も一般的なテスラコイルと言えます。

回路が単純なため、部品点数が少なく済みますが、高電圧・大電流に対応する特殊な部品が必要になります。

これが基本的な回路図となります。

主に「高圧電源回路」、「1次側共振回路」、「2次側共振回路」の3つに分けられます。

テスラコイルの電源部に相当する「高圧電源回路」は、一般的に10000V(=10kV)程度の電圧を発生させる高圧トランスを使用します。

入力の電圧は高ければ高いほど、出力の電圧を容易に上げることが出来ますが、部品の耐圧などを考慮すると、あまり高くすることはコストパフォーマンス的にも良くないと思われます。

 

次に、回路図中の”太い配線部分”が「1次側共振回路」です。

この回路に高電圧が加わると、まず最初にコンデンサが充電されていき、1次側共振回路の電圧が上昇します。

スパークギャップにて空気の絶縁破壊が起こると導通状態となり、1次側共振回路中のコンデンサとコイルが接続され、直列共振回路となるのです。

共振状態の回路中では、コンデンサとコイルに流れる電流が逆位相となり互いに打ち消し合うため、回路中のインピーダンス(抵抗)が最小となります。

共振により、1次コイルに流れる電流が多くなり、高い電圧が発生し、1次コイル周辺には電磁場が発生します。

 

「2次側共振回路」は回路図上では2次コイルだけに見えますが、実際にはコイル線間のキャパシタンスなど、様々な要因で分布定数回路を構成しています。

つまり、2次コイルだけに見える回路には、実はコンデンサも存在していて、共振回路として振る舞うということが言えます。

1次側共振回路と、2次側共振回路の共振周波数を合わせることによって、1次側と2次側のコイルは強く誘導し合うため、共振周波数を合わせることがテスラコイルを稼働させる上で重要なことです。

実際に誘導し合う部分は、1次コイルと2次コイルの近い場所ですので、背の高い2次コイルではコイル下部だけ発熱するということが起こります。誘導加熱ですね(笑)

 

SGTCの場合、1次コイルと2次コイルの巻数比は、1:100~1:200が一般的です。

2次コイルは1000回巻き以上にすることが多いです。

巻線の長さについては、λ/4波長で共振するため、その長さとします。

 

トロイドは放電電極のことを言います。他にもトーラスとの呼び名もあります。

一般的にトロイドは表面積を多くするということを目的としています。

先程の画像の通り、トロイドの表面積を片方の電極と見立て、アースに対するコンデンサとして動作します。

トロイドは電圧を高くするために放電しづらい形状にします。

つまり、球か、ドーナッツ状の形状です。トロイド、トーラスの呼び名はここから来ています。

 

そして、2次側の回路に発生した電圧が、空気の絶縁破壊電圧を上回ると、トロイドからの放電として実際に観察されるということになります。

トロイドを使用しないことは、尖った部分(ブレイクアウトポイント)が発生しますので、絶縁破壊に陥りやすくなります。

したがって、放電距離が下がることと、2次側共振回路のキャパシタンス容量が稼げないため、あまりオススメしません。

放電自体がキャパシタンス容量を変化させるという説もあります。

Q値(後述)を鋭くしていくと問題が出てくるのかもしれませんが、そこまでは確認出来ていません。

 

また、アースはとても重要です。

接地抵抗の少ない良質なアースを用意することが、放電の大きさを大きくすることにつながります。

2次コイルでの共振は、アースと接続することによってそこが振動の中心のなるため、接続しない場合と比べ倍の違いがあります。

アースを接続しないと振動の中心がコイルの中心となってしまうため、電圧が半減してしまうことになります。

外で実験を行う場合には、是非、直接地中にアース棒や金属板などを打ち込み、接続するなどします。

どうしてもアースが取れない場合は、金属板やアルミ蒸着の断熱シートなどを地面に敷くことで、アース容量を稼ぐという技があります。

アースは回路の一部ですので、できるだけ大きな金属製のものに接続し、良質なアースを取るということが推奨されます。

 

 

放電を大きくするために

1次側共振回路と2次側共振回路がそれぞれ共振し合うときの鋭さをQ値(Quality Factor)と言います。

Q値が高くなれば高くなるほど、鋭い共振状態になるため、出力電圧を高くすることが出来ます。

つまり、Q値を高くし、その共振周波数にピッタリ合わせると、大きな放電を起こすことが出来ます。

 

では具体的にどうやってQ値を大きくしたら良いのかという話になります。

それには、2次コイル自体の比率を改善することや、コイル中のインピーダンスを下げることが有効です。

 

2次コイル自体が縦に細長い場合はQ値が下がり、直径対高さの比が1:1に近づくとQ値が上がります。

同じ直径として考えた場合、銅線の太さを細くし、コイルの高さを抑えることが必要です。

しかし、高周波を扱う2次コイルでは、表皮効果の関係で、電流は巻線の表面に集中して流れます。

そのため銅線を細くしすぎると、インピーダンスが増加します。

 

経験則的に、2次コイルは直径対全長の比率で、1:5~1:3、巻数は1000~2000が適正であると思われます。

表面積を稼ぐことによってインピーダンスを下げられるため、リッツ線が適していという話もあります。

 

 

スパークギャップの調整術

スパークギャップの調整も重要です。

間隔を調整することによって、絶縁破壊の電圧が変わります。

つまり、共振回路が動作しはじめる電圧が変わるということです。

商用電源で駆動する場合、50Hzまたは60Hzの電源で駆動されることになります。

その半周期ずつ、最適な状態で共振動作をさせる必要があるので、スパークギャップの間隔調整も放電長に関わってきます。

ロータリースパークギャップ(後述)の場合は、回転数を変化させることが可能になっているということが望ましいです。

放電長を稼ぐには、シビアな問題となってきます。

 

 

直流駆動テスラコイル

交流をそのまま使用したテスラコイルに比べ脈流が存在しないため、出力を稼ぎやすく調整もしやすい方式となります。

しかし、高耐圧ダイオードが必要になるなど、デメリットも存在します。

 

 

スパークギャップ式テスラコイルの設計手順

テスラコイルの設計で言えることは、コイルを自作することになるため、実際に製作をしないと特性が判明しないということがあります。

一番、作りやすい方法としては、まず2次コイルを製作し共振周波数等を測定。

そして、2次側共振回路に合わせた1次側共振回路を製作していくという流れです。

 

LC共振回路の共振周波数についての式は以下の通りです。

共振周波数 f (Hz)は、共振回路中のインダクタンス L (H)とキャパシタンス C (F)によって求められます。

 

最終的な目標としては、1次側共振回路と2次側共振回路の共振周波数を合わせるということです。

つまり、以下のように表せます。

1次側L = 1次コイルのインダクタンス(H)

1次側C = 1次側共振コンデンサのキャパシタンス(F)

2次側L = 2次コイルのインダクタンス(H)

2次側C = 2次コイルの寄生容量 + トロイド容量(F)

 

この式を満たすように設計していけば、最適な共振状態とすることが出来ます。

 

 

2次コイルの設計

 

 

 

長岡係数

出典:The Inductance Coefficients of Solenoids

 

 

トロイドの設計

 

 

 

共振周波数の測定

 

 

 

1次コイルの設計

 

 

1次側共振コンデンサの設計