[HTLAB.NET] DRSSTC SFP 光ファイバーシステム
一般的にDRSSTCを駆動させる場合は、インタラプタとの間はBNCケーブルを使用して接続することが多いです。
これは何故かというと、安価に使えることや、ケーブルの入手性が良いということが上げられます。
DRSSTCのアースがしっかり取れている状況であれば、BNCケーブルは非常に使いやすいものです。
しかし、実演場所の都合などで良質なアースが確実に取れるとは限りません。
そのため、DRSSTCとインタラプタの間を光ファイバーなどで絶縁して駆動することが求められると思います。
安価に入手できる光ファイバーでは、光デジタル音声端子(S/PDIF)で使われるプラスチックファイバーが有名です。
家電量販店などでも手に入ることから、いくつかの製作例を見ることができます。
以下、TOS-Linkコネクタ(S/PDIF角型コネクタ)を使用してる方々のページ
これらのものは入手性もよく、安価であることから、非常に使いやすいと思います。
ただ、私は、以下の懸念点があると考えています。
- TOS-Linkコネクタ本家の東芝でのコネクタ製造終了(互換品しか無い)
- ハイレゾ化、帯域不足に伴いTOS-Linkコネクタを使用する機器が少なくなっている
- コネクタ自体が機械的に弱い(ケーブルを指したまま足を引っ掛けると折れるでしょう)
そのため、私は以下のものを試作、提案いたします。
ネットワーク機器で使用されているSFPモジュールを使用した光ファイバーシステムです。
家電量販店で買えるほど一般的ではありません。しかし、秋葉原や通販などでは購入できます。
データセンター等では一般的に使われているものなので、今後、無くなる心配は一切ありません。
高価ではありますが、強化された光ファイバーもあるため現場向きであると考えています。
送受信用に2本の光ファイバーがペアになっているため、テスラコイル本体からのテレメトリも可能と思われます。
システム仕様の共有について
「 [HTLAB.NET] DRSSTC SFP 光ファイバーシステム」として、通信仕様を公開します。
イベントなどでテスラコイルを持ち寄った際などに、自由に繋ぎ変えて運用できるようにしませんか?
個人で無償の範囲で使用する場合には制限を一切設けません。
自由に使っていただき、上記名称で広めていただけると嬉しいです。
仕様書は弊社のリポジトリに置いておきます。
(現在ドキュメント準備中です。少々お待ち下さい)
「Tsukuba Science Inc. DRSSTC SFP Optical Fiber System Specification」という名前で公開しています。
(商用利用の場合は、弊社までご連絡ください)
現在、有志数名で開発作業や動作テストを行っています。
なにか意見がある場合や、詳しい状況についてはお気軽にご連絡ください。
様々な環境でテストを行いたいため、「ちょっと使ってみたい!」というテスト参加希望の連絡も大歓迎です。
現在のテスターです。
- @pcjpnet (主要開発者)
- @twi_kingyo (主要開発者)
- @tkk_0709
以下、開発ログです。
2017/11/17 - SFPモジュールの動作テスト
SFPの規格については SNIA(Storage Networking Industry Association) の資料を確認しましょう。
INF-8074(PDF)や SFF-8431(PDF) あたりを見れば、SFP/SFP+ については大体わかるかと思います。
規格等をみるとわかるのですが、CML(Current-mode logic)や、LVPECL(Low-Voltage Positive Emitter-Coupled Logic)と言われています。
SFPモジュール内にコンデンサがありAC結合されているため、DCの信号は通りません。
DCバランスも取る必要があるため、8b/10bなどのエンコードを使用して通信することとします。
とりあえずシングルエンドで50%デューティーの矩形波を入れ、どの程度の周波数から通すのか実験してみます。
ユニバーサル基板上に「SOP IC変換用基板 SSP-81」を使用してSFPコネクタを配置しました。
使用したSFPモジュールは Cisco の GLC-SX-MM です。
ギガビットイーサネット用のモジュールです。
そこまで距離は必要ないと思われるのでマルチモードファイバーのものを選択しました。
光ファイバーにはシングルモードとマルチモードの種類があり、互換性はないので統一しておいたほうが良いと思われます。
100kHzと1MHzの矩形波を入れたときの画像です。
水色の波形が発振器出力、黄色の波形がSFPモジュール経由での出力波形です。
周波数を下げていくと通りにくい感じがあります。
最低でも1MHz以上になるような信号が良いかと思われます。
10MHzの矩形波を入れたときの画像です。
配線自体が適当なのでそれが影響している気がします。
ギガビット前提のモジュールのため、基板を起こした上で、10MHz以上の通信をするのが良いと思いました。
SFPコネクタ・ケージの入手先
使用したコネクタは以下のものです。
結局、ユニバーサル基板ではケージは使用しませんでした。
基本的に前述の通り規格化されているものなので、他のメーカーのものでも大差ないと思います。
光ファイバーケーブルの入手先
LC-LC マルチモード デュプレックス 50/125μm OM1~
基本的に上記キーワードに当てはまる光ファイバーなら使用できます。
OMは光ファイバーのグレードを表します。数字が大きければ品質が良いと思ってください。
値段が大差ないのと、自宅で10Gbps/40Gbps光ファイバーネットワークを組んだときにも使えるため、OM3グレードのファイバーをよく使います。
- https://www.amazon.co.jp/dp/B01B443WE6/
- https://www.amazon.co.jp/dp/B07FDM984P/
- https://www.fs.com/jp/products/40251.html
- https://www.aisan.co.jp/
SFPモジュールの入手先
新品で購入しても良いのですが、高価なのでヤフオクで中古品を探すか、FS.com等の互換品を購入するのが良いと思います。
GLC-SX-MM の中古などは格安で出回っています。秋葉原等でPCジャンク屋を見てみても良いかもしれません。
互換品でも特に動作は変わりませんし、中古品でも壊れていることはそうそうありません。
2018/1/5 - SFP Transceiver Board Ver0.5
ユニバーサル基板での最低限の動作テストが完了しました。
CPLDからSFPモジュールを叩きたくなったので、手頃な MAX II CPLD を使用した基板を作りました。
MAX II は安くて手頃なのですが、残念なことに差動ドライバやPLLがありません。
そのため、SFPモジュールとの接続は、以下のLVDSドライバICを使用して接続しました。
- DS90LV019TMTCX(3.3V / 5V 両対応)
- FIN1019MTCX(安価・3.3Vのみ)
CPLDでのSFP通信実験を行う最初のテスト用ボードです。
通信実験を行いつつ、最終的な実装の方針について決めていきます。
テレメトリはともかく、インタラプタのパルス送信だけであればマイコンのシリアライザでSFPモジュールを直接駆動できるかもしれない、という話が出てきました。
2018/5/31 - DRSSTC SFP Interface Ver1.0
比較的、低い周波数でも使えそうなので、シングルエンドで入出力可能なボードを設計します。
前述の通り、マイコンでの動作テストも行う前提です。
2019/3/25 - DRSSTC SFP Transceiver Ver1.0
現状のファームウェアは以下で公開しています。
GitHub - htlabnet/DRSSTC_SFP_Transceiver_For_v1
(商用利用の場合は、弊社までご連絡ください)
LEDインジケーターの入手先