パルスパワー高電圧スイカジュース作り(13kJ)

Watermelon 13kJ 01 001

8000Vの高電圧でスイカジュースを作ってみました。

前回、「スイカ割り工作コンテスト」開催とのことで、6000V(5kJ)のエネルギーでスイカを割りました。

前回の詳細:

 

今回も事の発端はこれです。

Watermelon 13kJ 01 002

スイカ割りという概念に引っかかればOKらしいので、前回に引き続き、パルスパワーでスイカを粉砕し、ジュースにします。

つまり、コンデンサに充電した電気を一気に流す装置を作るということです。

前回のものを流用して、コンデンサは、某機械王POKA氏の要塞より引き上げてきた巨大なものに変更します。

(つくばで入手したと聞いているので単純に戻ってきただけとも言う)

 

コンデンサのエネルギー

コンデンサに蓄えられるエネルギー(J:ジュール)は次のように計算します。

J = CV2/2

5kV / 800μFのコンデンサを例に取ると以下のように計算出来ます。

J = CV2/2 = 0.0008 * 5000 * 5000 / 2 = 10000[J] ( = 10[kJ] )

つまり、5kV / 800μFのコンデンサに蓄えられるエネルギーは最大で 10[kJ]です。

 

Watermelon 13kJ 01 003

今回は5kV / 800μFのコンデンサを2個直列にして使用することにします。

2つのコンデンサを直列接続にすると耐圧は倍になりますが容量は半減します。

つまり、10kV / 400μFのコンデンサとみなすことが出来ます。

J = CV2/2 = 0.0004 * 10000 * 10000 / 2 = 20000[J] ( = 20[kJ] )

最大のエネルギーは20[kJ]となりますが、今回は安全のため、8kV前後で使用しました。

8100Vとして計算すると、以下のようになります。

J = CV2/2 = 0.0004 * 8100 * 8100 / 2 = 13122[J] ( = 13.122[kJ] )

約 13[kJ] というところでしょうか。

 

前回が5kJ程度なので、ざっと3倍のエネルギーを今回は投入するということになります。

コンデンサ以外は基本的に前回製作したものを使いまわします。

 

ギャップスイッチ

Watermelon 13kJ 01 004

前回使用したギャップスイッチを引き続き使用します。

かなり耐久性があるようで、若干の煤はありますが、動作に問題はありません。

 

高圧トランス

前回使用したネオンサイントランスでは得られる電流が少なく、充電に時間がかかってしまいました。

今回は、コンデンサ容量も増えていることから、大型のトランスを使用することにします。

Watermelon 13kJ 01 005

手元にネオンサイン等のボンバード(ボンバードメント)処理向け高圧トランスがあるのでこれを使用します。

10kVAのトランスなので、それなりに大きいです。

200V入力、15000V出力なので、200Vスライダックを使用して出力電圧を可変することにします。

電源は、トヨタ ダイナ 機材運搬用トラック(電源車)から供給します。

 

充電回路

Watermelon 13kJ 01 006

高圧トランスの出力を整流するため、高圧ダイオード(PRHVP2A-20)で半波整流をします。

また、コンデンサは電荷が溜まっていない場合に、電流が一気に流れてしまうため、電流制限をしたいです。

ダイオードが 20000V / 2A までなので電流は1Aぐらいに抑えたいかな・・・。

そのため、手元にあった適当な抵抗を間に入れておきます。

オームの法則から、 10000V / 1A として計算すると、10kΩの抵抗値になります。

それ以上の抵抗値であれば良いと思われます。

(ホーロー抵抗を入れたかったが値の低いセメント抵抗しか無かったのでマシになるように複数直列にしています)

 

放電回路

Watermelon 13kJ 01 007

前回のコンデンサに付いていたものを付け替えて流用します。

万が一、コンデンサの放電に失敗した場合、電荷が残っている状態になってしまいます。

そのため、残った電荷を放電する回路が必須となります。

IWAKIのCRH100G 50kΩ抵抗と、パナのZV6K015BCS(24V)リードリレーを使用している回路で、リレーに24Vを与えた時点で抵抗が切り離されます。

 

実験のセッティング

Watermelon 13kJ 01 008 Watermelon 13kJ 01 009

前回と同様、コンデンサからギャップスイッチを経由しスイカに接続しているだけです。

今回は、t=20mm、直径1.5m、高さ1mのアクリル水槽を用意しています。

電圧測定は Fluke の 80K-40 高電圧プローブを使用し、整流後のコンデンサ電圧を観測しています。

前回よりもパワーアップしているため、細心の注意が必要です。

規模も大きくなっているため失敗は許されません。

 

スイカ割り実験1回目

スイカ亀甲縛りの状態で爆散してほしいが大規模セットアップでうまくいくのか?

1回目にして大成功です。

Watermelon 13kJ 01 010 Watermelon 13kJ 01 011

Watermelon 13kJ 01 012 Watermelon 13kJ 01 013

Watermelon 13kJ 01 014 Watermelon 13kJ 01 015

Watermelon 13kJ 01 016 Watermelon 13kJ 01 017

Watermelon 13kJ 01 018 Watermelon 13kJ 01 019

ハイスピードカメラで撮影した映像です。(1069fps)

中心での放電による強烈な閃光が見え、直後に外に向かって破裂していく様子が観察できます。

t=20mm、直径1.5mのアクリル蓋が少し飛んでいたので相当な圧力が発生したようです。

 

20フレーム後の画像

先程の最後の画像のあとに20フレームあり、そのあとの画像です。

アクリル水槽にぶつかるシーンが撮影できています。

Watermelon 13kJ 01 020 Watermelon 13kJ 01 021

Watermelon 13kJ 01 022 Watermelon 13kJ 01 023

Watermelon 13kJ 01 024 Watermelon 13kJ 01 025

Watermelon 13kJ 01 026 Watermelon 13kJ 01 027

Watermelon 13kJ 01 028 Watermelon 13kJ 01 029

スイカジュースも回収でき、実験大成功ですね。

 

動画

実験結果はこちらの動画もご覧ください。

 

 

協力いただいた方々

ご協力ありがとうございました!

撮影協力

挿絵

 

参考リンク